『7SEEDS』(田村由美)


先日誕生日を迎えたわけですが、
弟が、「きっと好きだと思うよ!」と言って、プレゼントに『7SEEDS(セブンシーズ)』の既刊を全巻(8巻まで)買ってくれました。
で、読んだ。




ギャアアアアーーーーーッ!!!


む、虫! 虫がっ!!


未来の、隕石の衝突によって文明が消滅、「原始」の状態になった地球の話なんですけど、
虫が! 巨大化した虫やら恐ろしい生物やら「青紫のじゅるじゅる」やら、
怖ェーよ!


ヒーッ! ギャーッ!! と絶叫しながら読みましたけれども、
面白かった! ていうか、続き! 続きが気になりすぎです。


ここからは、「白紙の状態で読みたい」という人はご注意、嫌な方は避けてください。
ネタバレにあたるかもしれません。
お話の内容としては、



・7SEEDS というのは日本政府のプロジェクト。
・地球に巨大隕石が激突、人類が絶滅することが分かり、厳選した数名を冷凍保存して未来へと残し、日本人が絶滅しないよう企てた
・プロジェクトは5チーム×7人。 春・夏のAチーム・夏のBチーム・秋・冬 の、5つのチームがある。
・それぞれのチームの目覚める時期、眠らされた場所はバラバラ。
・それぞれのチームを軸に、少しずつ全容が明らかになっていく。


と、いう状況設定なんですが。
これがもー、「さすが田村由美…!」と唸らせる、キャラてんこもり状態で!
田村由美のキャラ生産力ってほんとにすごいと思う。顔とか、絵的にはそんな多彩なバリエがある方ではないと思うんですけど、これがまた、ほんとに、それぞれ違うんだもの。「BASARA」もすごい好きで、キャラみんな大好きなんですけど、バサラであの膨大な数のキャラ(しかも個性的!)を描いてなお、また、こんなに沢山キャラを…!
ちょっとこう、田村由美のキャラ力って、冨樫に通じるものがあると思うんですよね。冨樫のキャラの独特さは、また、格別だけど。タムも、ほんとすごいと思う。ちょっとこう、秋のチームなんかは、正直苦しいな〜って感じがしたんだけれど、秋のチームを掘り下げた話になったら、また違う面が見えてくるかもしれないし。


作品、冒頭は、「夏のBチーム」から始まり、2巻で「春のチーム」へ、そして4巻で「冬のチーム」のエピソードがはさまり、5巻でふたたび「夏のBチーム」へ… という感じで話がうつっていくわけなんですが。その次々に中心が移る感じもまたよくて。
単に、「違うチーム・違う場所」へと話が移るだけじゃなくて、それぞれのチームのエピソードの、時間軸にもまたタイムラグがあるんですね。
最初の「夏のBチーム」が目覚めた時点と、「冬のチーム」が目覚めた時点では、15年の開きがあって(冬のチームのほうが15年前に目覚めた)。
4巻の「冬のチームのエピソード」で出てきた「新巻鷹弘」が、後で、15年後の姿で出てくるとかいうことになるわけです。
この鷹弘、非常にいい奴で。その彼がたったひとりで、15年サバイバルしていたことが、そこで読者にも分かるわけです。で、彼は、やっと人間に出会えて本当に喜ぶわけですね。だけど、そこで出会う「夏のBチーム」の3人は、前に恐ろしい人たち(秋のチーム)と会っていて、非常に、人に疑い深くなってるんですね。だから、「うさんくさい」ということで、鷹弘を信用しないわけよ…!
そ、そんな…! 前の人らはアレだったかもしれないけど、この人は、違うのよ…!!! とかさ、読んでるこっちは、もう、どうしていいかわからないわけですよ。鷹弘は本当に好意100%で、人に会えて無心に喜んでいたから、信じてもらえなくて、本当にものすごい悲しみを受けるのね。鷹弘も涙だけど、読んでるこっちも涙だ…!

とか、こう、エピソードと時間軸のからまりに、ほんと、「う・おー!」という妙味があるのでした。ハアハア。


それでですね。
こっからすごいんです。7巻で出てくる「夏のAチーム」が、只者じゃない…!!!!


そこまでは、SFとかサバイバルとかで「ギャー」いいながら普通に楽しく読んでたんですけど、7巻で、「夏のAチーム」が出てきた瞬間、ドッカーーーーン!!!! なりました。
もう、平静には読めません。本当に7巻8巻はやばいです。なんなら、7巻から読んでもらっても構わない…! それで、面白かったら、9巻が出るまでの間に、1〜6巻を読んでもらったらいいと思います。

ほんと「ヒィー!」という感じの「夏のAチーム」編、カラーも、これまでの展開とはガラリと違います。怖いです。ちょっとこう「マジ?」という感じの怖さです。掲載誌「フラワーズ」の懐の深さを感じた。(なにげにすごいよね「フラワーズ」は。)
これは、これは「少女漫画」なのか!? 日本の「少女漫画」は、本当に世界最高峰だなと思いました。だから「少女漫画」って好き。日本の少女漫画が好きです。


7巻からは、「いかにして夏のAチームが結成・選抜されたか?」というエピソードが始まるわけですが。
もーね。夏のAチーム、ほんと、「源五郎」が、好みすぎて。好みのビジュアルすぎて、死にます…!
もうだめ! 限界!!
安居(あんご、と読む)というキャラがまたいいんですけど(これが巷でうわさの、大ふりの阿部くん似の人ですね?)、
「安居と源五郎」に、悶絶した…!
安居の涙のシーンで、叫んだ。何アレ。何だアレ。最高すぎます。
もーほんと源五郎たまらないっていうの。そんで、源五郎と安居の間がまたたまりません。
普通に言ったら、「安居と茂」、或いは「安居と涼」の関わりの方が、目を引くトピックと思うんですけど。
私は、俄然、安居と源五郎が、眼福。たまりま千円。
この二人の信頼関係は安全圏だと思っていたんですけど、
たったひとつ、「銃」の伏線が気にかかってしまってしょうがない。源五郎は今、銃によってなされたある出来事のために非常に憤っているわけですが、「銃」は「火のクラス(火・火器を専門に学習する)」のトップである安居の代名詞のようなもの。銃といえば、安居か涼。全員が射撃を修めるとはいえ、やっぱり、「銃」を見て安居がチラつかないはずはない。それが後々禍根を生んでしまいそうで、超気がかり…!
続きが気になって、もう、どうしたらいいのかわかりません。
今、夏のAチーム七人を選抜する、最終テストが行われているわけですが。
一体、誰が残るのかが、気になります。
早く9巻が読みたいよ…!