PMSは変えられる(はず)



ボディの面で、20歳から30歳の間を振り返ると、
ひとつ、「PMSとの闘い」というのが大きなテーマです。
PMSで悩んでいる人がいたら、
私は低用量ピルにトライしてみることをすすめたい。




PMSの時期になると、
心身ともに本当につらくて、
絶望感と倦怠感の中で、地べたをはいずるような感じで過ごしてた。
でも、低用量ピルを飲んで、劇的に緩和されました。
私はずっと、「自分の力で何とかしなきゃ」と思っていた。
「月経の前は、女性は心身が不安定になる」んだと、ずっと聞かされてきた。
けれども「それは病気ではない」「当たり前、ふつうのことだ」と。
教育の場でも、生活情報、マス情報の世界でも、そう聞かされる。
だから、それが「ふつう」だと、自分に言い聞かせてた。
「病気じゃない」、だから、自分に鞭打つように無理をしてきた。
だけど、どうしても抜き差しならなくなって、
病院の門をたたいて、ピルを飲んでみて。
あまりにも世界が変わって、あれ? と。ちょっと待てよ、と。
この薬一粒で、こんなに変わるなら、今までの無理は、しなくてよかったんじゃないか? と、
心から思い、呆然としてしまった。




どんなに世の中が「それが普通だ」と言おうとも、
つらいものはつらい。
PMSは、つらいんだ。日常生活が送れなくなるぐらいに、つらいんだ。
だから、自分の力でなんとかしなくてもいい。耐えなくていい。
薬や、医療の力を借りていい。
それで済む、ショートカットしうる苦しみなんだから。




女性の体を巡る言説は、まだまだ「定説」に絡め取られていて、
我々はしばしば、「しなくても済んだ苦労」を強いられてる。
婦人科のことは、特にそうだと思う。
それを内面化して、頑張っちゃって、バカだったなと。
しみじみ、思う次第です。




ピルは、低用量と言っても合う・合わないがあるし、
効き目にも個人差がある。副作用もあるし(副効用もあるが)、
絶対に私のように改善するとも限らない。
最終的には医師の判断と、自分の意思決定になるけど、
ひとつの選択肢として、低用量ピルを提案したいです。





以下は、「思い出話」として、
PMSじゃないか? と気づいたあたりの経緯。
結構長く苦しんできたのに、「病気じゃない」刷り込みもあって、
なかなか、自分がそうだとは気づかなかった。
自分の場合、気づいたきっかけは、
「自暴自棄な感情が湧きあがったときに、
 『あれ、以前にも、全く同じ心の動きがあったな?』と気がついたこと」。
その心理や、他の症状の訪れに、サイクルがあることに気づいた。



 

思えば、25歳ごろから、症状はあった。
でも、体がそれなりに元気だったので、あまり意識しなかった。
あれ? と思い始めたのは、27歳で転職してから。




どうにも空しくなって席に座っていられなくなって、
トイレに逃げ込んで「ああ、もう、仕事辞めたい!!!!」と思った時、ふと気がついた。
あれ? これ、前の職場でも、全く同じ感じで、こんな気分になってたな、と。
心の動く軌跡というか、心の中のテイストが、「全く同じ」。
転職して、前職で抱えていた問題(パワハラ)は解決したはずなのに。
環境も、仕事の内容も、全然変わったのに、
そっくりなぞったような心の動きで、「仕事辞めたい!!!」って思っている。




これは、変だぞと思った。
しかも、言葉としては「仕事辞めたい」のフレーズで出力されているけど、
頭の中身は、別に、そういうわけでもなさそうだ。
ただ、自分を支配するモヤモヤっとした「感じ」の塊が、
「もう、やってらんねえよ!」って訴えている。
これ、正確には「仕事を辞めたい」でなく、
「しんどいから、いま働きたくない!」というメッセージみたいだ。

これは、外的環境以外に、原因があるのではなかろうか?
そう思って、手帳の月経周期と照らし合わせてみると、
いつも、だいたい同じ時期にそういう自暴自棄な気分になっている。
そこで初めて、
あれっ、これ、もしかしてPMS???  と思い至った。

でも、気づいてからも、長かった。
PMSの症状は重くなる一方だし、
その時期、ハーブティーとかアロマとか、試しても、ほぼ効果はない。
とうとう朝起きられなくなり、定時に出勤出来なくなったり、
欠席したり、日常に支障をきたすようになった。
PMSの時期に入ると、朝目覚めたときに、「あっ、来てる」と分かる。
そのくらいハッキリ、体の調子が変わってしまう。
体は、水をつめた皮袋のように、ぐんにゃりして芯が入らない。
起きなきゃ、起きなきゃ、と思っても、どうしても頭が上がらない。
その時期はいつも、半泣きで起きて、無理やりに出勤してた。
過食もひどくて、肉や、脂っぽいものが食べたくなる。
満腹で食べたくないのに、頭が食べたがって、食べて、結局吐いて、
自己嫌悪の塊になってた。




半年か一年くらい経って、いよいよ「自分の力では、もう無理だ」と思い、
低用量ピルを飲み始めた。
それから、本当に、劇的に人生が変わった。
あんなに起きられなくて、死ぬほど苦しい思いをしてたのに、
低用量ピルを飲むだけで、本当に、体が楽になる。
頭の中が散らかって、まとめる系の仕事が全く出来なくて、
常に、もう死にたい、死にたい、と思っているような精神状態だったのに、
その絶望感も緩和された。
私の場合、症状はまったくのゼロではなく、薄ーく訪れるが、
自分で何とかできるレベル。ピル無しのときとは比べ物にならない。




PMSに振り回されなくて済む、このことが、
こんなに嬉しいなんて思ってもみなかった。
それは症状が緩和した喜びでもあり、
自分の体を自分でコントロールできる喜びでもある。




私と同じように、
「自分で何とかしなきゃ」と苦しんでいる人が、たくさんいると思う。
そういうつらさが少しでも和らいでほしい。
(少なくとも、「自分で」解決しなきゃ、と自らを追い込むのは、
 無用な苦しみだったと私は思っている。)
そのつらさ、苦しさを変えるための選択肢のひとつ、予備知識のひとつとして、
「PMSは変えられる(はず)」と
折に触れ、言い続けたい。