母と「おお振り」
うちの母親は野球が好きです。そして球漫が好きです。
もとはと言えば、父が、水島信司の野球漫画をほぼ全冊コレクションしており。
母は、それプラス、他にも『球道くん』とか『男どあほう甲子園』とかを、コツコツと読み。
そのことは知っていましたが、先日、電話をしていて、母の一言。
母:「お母さんね、いま、あんたの『おおきく振りかぶって』読んでるよ☆」
ざわ…!!
よもや、母が、おお振りを読んでいようとはっ・・・!
娘:「えっ、マジでっ!? いま、何巻まで読んでるんですかっ・・・?」
母:「三巻が終わったところ。んっとね、阿部の昔の」
娘:「榛名…!! 元カレ!!!」
母:「元カレ・・・?」
あっ、いや、あのっ・・・ と電話口で居住まいをただす娘。
娘:「いやホラ、今のピッチャーが、バッテリーがね、三橋じゃないですか。だからあの、たとえとしてね、なぞらえて。 三橋を今カレとすると、昔のピッチャーだから元カレと、一部では呼ばれているわけなんですよ」
母:「ふーん。」
あーやばいよ、いきなりママが「阿部」とか「阿部の昔の」とか言い出すもんだから、つい、地が・・・!
お母さん、娘の「阿部神経」に不意に触るのは反則・・・!
しかし、そこで、母からまさかのキラー・パス!
母:「でも、榛名は阿部のこと好きだよね」
おかーーーーさーーーーーん!!!!!
娘:「私も! 私も、そう思ってたっ!!! あんた、分かってらっしゃる!!!!!」
ああ、完全に、オタがフルスロットル!!!!
母相手に、ふつうに、オタ友(と書いて「親友」と読む)に話すのと同じテンションで、がぶり寄りしてしまったよ!!!
どうしよう、コレ、もう糊塗できないですよ! 27歳長女、どうしようもない!!!
だって、そんな、不意に「阿部神経、プラス榛名」に、触ってくるのは反則・・・!
やー、でも、ママが普通に読んでもやっぱり、榛名は阿部のことが好きなように読めるんだよ。やっぱそうだよ、そうなんだよなあ、と、自分の中で再納得です。そんで、阿部の方は、強烈に嫌がってるのね。
これまでコントロールできない投手のもとで苦しんだから、今度は、自分の言う通りに投げてくれる三橋とのバッテリーにやりがいを見出すと。でも、その原因の榛名は、普通に隆也を好いてるって言うあたりが、面白いっていうかひどいっていうか・・・
そんな、ある意味プリミティブな「おおふり」話を、よもや今できるとは思っていませんでした。
これ、もう、結構難しいじゃないすか。おおふりのメジャー度的にも、進み具合的にも。しかも、母さんと阿部話。感慨深いものがあります。
母:「わたし、キャッチャーが好きなのね」
娘:「そうなの・・・? (ざわ・・・)」
母:「ピッチャーを操るキャッチャー、いいよね☆」
娘:「あっ、じゃあ、おおふりでも・・・好きなのは・・・」
母:「うん、阿部かな」
血だった・・・!!
静かに、驚愕するオタ約1名です。一時期の私の阿部への熱狂ぶり! 阿部が数学得意だからって、就職してから数Ⅰの問題集を買ったアホ、それは私です! 明けても暮れてもタカヤLOVE、そんな時節がありました。
娘:「お母さん、わたしも、阿部が一番好きなんですが・・・」
母、ひとしきりウケる。
母:「ライバルじゃん!(笑)」
あーこのヒト可愛いなー、と、ちょっと思いました(笑)
他にも良い球漫を教えてくれ、と母に言われたので、とりあえず高橋陽一の「エース」を推薦し、さらに、「原秀則も球漫を描いているよ☆」と教えておいた。
なにせ・・・ 私が13歳の時の、クリスマス・プレゼント、忘れもしない、『冬物語』全巻、ですから。母のチョイスですから…! 1巻のサブタイトル、「オレ、予備校生」。中学一年生に、どうしろと・・・! なぜ、『冬物語』・・・! と、真剣に問い詰めたくなった13歳の私です。きょうだい揃って、繰り返し読みましたけど。子供心には「詩織ちゃんがズルイ」「奈緒子の方が絶対いいのに・・・」という感慨が刻みこまれたものですよ。
お母さん、全巻読んだら、また「おお振り話」しようぜ!(母、ここ読んでないけど!)