L 局白書・第一回


L局が大好きなんですよ。




何を今更、とお思いになるかと思うんですが(それはもう力いっぱい)、しかし、スキスキと言い続けながらも、一度も、正面から語ってみたことはありませんでした。
その間に、局長は「次長」になるわ、あまつさえお亡くなりになるわと、本誌からかけ離れた感のある「L局長」ですが。
でも、ぜひ、ここらで一度、L局を語らせて頂きたいと思います。


私が、なぜ、L局長が好きか。
それは、Lの幸せと局長の幸せとが、絶対に一致しない、その矛盾ゆえです。
Lと、局長とが、必死になって追いかけている「キラ」
しかし、キラが局長の息子・ライトであるがゆえに、
二人にとっての「達成=キラの逮捕」は、絶対に、二者の幸福と一致しない。
それどころか、キラの逮捕は局長の破滅に繋がっていて、
局長は、自身の破滅を見るために、キラ逮捕に向かって命を削っているともいえる。
そして、ライトがキラだと確信しているLは、局長のそういう状況が誰よりも分っているわけですよ。
局長がキラを捕まえるために本当に必死になって、自分の家に監視カメラをつけることを許したり、心筋梗塞で倒れたり、それなのに護送車でTV局に突っ込んだり、誰よりもキラの逮捕のために命を削っていることを知ってる。その気持に曇りがないことが分かる。でも、それは、全て、愛息・夜神ライトの逮捕に繋がっていくことなのだと。
その、局長のパラドックス、矛盾、袋小路が、誰よりもLには見えていて、でも、Lは、ものすごくキラを捕まえたい。だけど、そのキラは、この夜神局長の息子である。局長の悲願の達成が、そのまま、彼の破滅に繋がっていくことが分っている。
だから、Lは、その実、すごく悩んでいたんじゃないかと思うんですよ。
局長と、キラ逮捕のために力を合わせながら、「キラを捕まえたい」という情熱で誰よりも心が通じ合いながら、けれども、その最後の部分で、亀裂を抱えている。
だからLは、キラを追い詰めて、その輪が狭まっていくたびに、どうしよう、どうしよう、って、心の或る一部分で思っていたんじゃないかと思う。この現実が、なんとかならないものかと。自分が、絶対にキラを捕まえることがLには分っている。だからそれが、何を意味するのかも分かる。警察庁の刑事局長の息子が「キラ」だって、これ、もう、ものすっごいことでしょ。本当に、もう、夜神さんおしまいだと思うんですよ。だから、Lは、自分が着々と遂行しようとしている「キラの逮捕」が、同時に、夜神さんの全てを、着々と脅かしていることを知ってる。でも、どうしようもない。「逮捕しない」なんてことは、Lには、絶対出来ない。そしてそれは、当の夜神さんだって納得しない。(キラはライトじゃないって思ってるから。)
その狭間に立たされて、Lは、ずっと、呆然と、現実と対峙していたと思うんですよ。


その矛盾に気がついているのはLだけで、局長は、「絶対、ライトはキラじゃない」って、信じているから、「キラ逮捕」という目標は、局長にはなんら矛盾のないものなんですよね。そうやって目標に邁進していく夜神さんと、力を合わせながら、Lは、自分が、一番、局長の幸せに反する者だということが分っているわけですよ。
ああ、もう。そんな。L、そんな。ちょっと、泣いて、いいですか??
だから、夜神さんが頑張って、自分を犠牲にするたびに、Lは、もう、なんていっていいか分からない気持なわけ。
で、ここですごいのは、Lは、そんな夜神さんを、そのまま受け入れているということなんですよ。それら全部あった上で、「キラ捜査に命がけ」な夜神局長を受け入れ、また、信頼し、必要としているという。
そんなLと局長との関係が、もう、ものすっごい、しびれる。


Lは、きっと、「キラの逮捕」と「夜神さんの幸せ」と、どっちも両立する方法はないかと、ものすごい考えたと思うんですよ。Lならきっと、キラの素性とか、うまく隠す方法も持っていたはず。キラと、夜神さん家族とが無関係であるように糊塗することも、やろうと思えばLには可能だったと思うんですよ。だけど、そんな申し出を受ける夜神さんではないことは、Lには、火を見るより明らか。キラがライトだと分かったら、局長は、ライトと一蓮托生するだろうということが。
そうなると、もう、Lにはどうしようもない。捜査すればするほど、刻々と「その時」に迫っていくことを感じながら、ただ、あの二つの目で現実を、やがて来る、未来を見つめている、L。そのLを見つめる、ワタリ。もうどうしようもない、手詰まりだ、って分っても、頭のどこかでは、どうしよう、なんとかならないのか、って考えているL。
そのとき、そんなLにとって、ライトは、キラは、どれぐらい憎らしい存在だったでしょうか。
お前があの人の息子でさえなかったら、って、どんだけ思ったでしょうか。
そして、夜神局長の息子でありながら、「キラ」になったライトを、Lは、一体、どう思ったのでしょうか。これは端的に「憎い」とか、そういうことじゃなく、もっとこう、何か、深淵を覗き込むように、彼を見つめたのだろうか。


警察がキラについて、局長たちが「警察を辞めるか、キラの捜査を辞めるか」って状況になって、Lが、「私は一人でやります」って言ったとき。案外、Lは、安心したのかもしれない。是非とも、ここで、局長には降りてほしかったのかもしれない。だけど、夜神さんは、熱烈にLを説得して「本当に本気だ」みたいなことを言うし。それは、分ってるのよLには。でも、だからこそ、今、ここであなたには降りてほしい。その唯一のチャンスだったのに、局長は、己が熱意によって、一層、キラ捜査にのめりこむことになってしまったのでした。ああ……(by L )



とまあ、こんなことを、小説にしたいと思っていたんだけれど…
なかなか、どう話にしていいかもわからなくて、頓挫して、現在に至ってます。……そのまま書けばいいのかしら?



次回は、Lの、局長への愛について(笑) 書いてみようかと。