百万年遅れてる。



今日夕飯を食べながら朝刊を読んでいたら(スミマセン…)、
週刊新潮の広告が載っていて、


「アダルトショップ」主催のイベントで講演した「辻本センセイ」


と、デカデカと見出し。
わたし、沈黙の後、「これが…週刊新潮なんだわ!」と、鮮烈に実感した次第。
だって、ねえ。
わたし、辻本議員が、北原みのりさんの「ラブピースクラブ」のお祭りの今年のゲストだってこと、ずっと前から知っていたもん。
「ラブピースクラブ」がなんであるかは、フェミをかじった人間ならほぼ知っているはず。
それを…
こういう書き方って、なんか、すごい、嫌だなあ。
週刊新潮にかかると、ラブピのイベントも、「こんなふう」にされちゃうんだ!?
衝撃の、週刊新潮クオリティ!!!
以前S先輩が「週刊新潮ゆるせん!」って凄くキレてたんですけど、やっと、そのクオリティが理解できましたよ。


いや、ほんと、下劣きわまりないですよね、この書き方って。
アダルトショップ。いけないですか、アダルトショップ?
たしかに大人のための店ですよ、ラブピースクラブは。
だが、それがいかんのかい。
しかも、あの広告の文脈って、ラブピースクラブの理念とか、北原さんの活動だとか、そういうもの、全く、こそぎ落として、別物にしてしまってるよね。ある意味情報操作。


(↓「ラブピースクラブ」のサイトの、この件に関する北原さんのエッセイ。
 
 http://www.lovepiececlub.com/kitaharaframeset.html )
 



辻本先生がラブピのイベントに呼ばれるのって、ある意味当然というか、全く、普通のことだと思うんですよ。衆議院議員という立場から、フェミについて熱く語っていただくと。当然。当然。まったくもって、当然。むしろ使命。そして、フェミの活動を展開する側が、性と近い距離にあるのも、ある意味、自然なことでしょ? 全然、普通でしょ? ヴァギナをファロスの従属物にしない。快楽について、女性だけが、不当なリスク(肉体的にも精神的にも経済的にも)を背負い込むのはおかしい。「男性」のいう、快楽がすべてではない。もっといえば、「男性」が、必須でなくてもいい。それがラブピースクラブの理念と受け取っていて、私はとても、それに賛同しているのですが。
それをさーあ。「辻本議員が」「セックスグッズを扱う店主催のイベントで」「講演した」という、そこだけを抽出して、よくもまあこんなふうに書くものだよ。
嘘は言ってない、と、この雑誌は言うだろう。でも、この見出しの雰囲気が、ものすっごく、嘘つきじゃありませんか?


つくづく思いました。
日本のフェミニズム意識、及びジェンダーに対する認識は、
百万年遅れていると。
なんというオヤジ体質。
私は新潮文庫大好きだけれど、あの版面を無形文化財にノミネートしたいほど好きだけど、しかし、日本を代表する出版社の週刊の発行物が、この体たらくだって。
あのさあ。「遊ぶ」べきポイントは、そこじゃないんじゃない?
そんなに楽しいか。このネタが、そんなに面白いか? 「そこ」で面白がろうということ自体が終わっているし、これが許されてる、まかりとおってる、つまりこの感覚が支配的であるということがもう、本当に、絶望的ですよね。


そんでまた、自民党は、こないだの朝日によると、なんですか、なにかの草案から「ジェンダー」って言葉を削ろうとしてるんでしょ?
ハハ!!
こりゃまた本当、恥ずかしくて、世界に顔向けできませんよ。
「まだ知られていない、未成熟な言葉だから」ってのは、そういうあなたが未成熟なんですよ。「知られてない」ってことが火急の問題なんで、是非とも知って、率先して議論していかなきゃならない問題なんですよ。それを、「知られてないから」削るだって! アホか!
人が生きてく上で、「ジェンダー」は、絶対に切り離せない観点なんじゃないの? 
少子化問題なんて、ジャスト、これだと思いますよ。あと、お父さん世代の、うつ病とか、自殺の問題とかも。ほんと、様々な場面でのリブだとか、活性化につながると思うわけよ。
少女の摂食障害なんて、若い頃に「ジェンダー」っていうタームを知りえていたら、もしかして、そうとう防げるか、あるいは、もっと軽くて済んだりするんじゃないかって、本当にそう思うわけよ。経験者としても。


オヤジどもは「ジェンダー」とか「フェミ」っていうと毛嫌いするけどさ、たしかに、フェミちょっと怖いってのはすごく分かるんだけど、社会的性差を考えることが、自分たち男性の解放にもつながる、ってことには、考えも及ばないわけなの? 
たとえば、「どうしてオレだけ一所懸命働いて、毎日片道2時間通勤して、上がらない給料で家庭を支えなきゃいかんの?」とか、考えたりしないわけですか。どうしてか分からないけど、「男はこうでなければならない」って思って、自分を不自由にしてる思い込み。社会的優位の変わりに、背負ったり失ったりしたいろんなもの。そういうものを、何一つ、意識したりしないわけですか。「ジェンダー」という視点は、その謎を照らし出すために是非とも必要なものの考え方で、決して、「男性の既存の優位性」を破却するためだけのものではないってことを、もっと、よく分ってもらいたいわけよ。
そして、願わくば、小学校・中学校・高校の教育に、是非とも「ジェンダー理論」の項目を設けてもらいたいわけよ。
今、フリーター・ニート問題で、若い頃からの職業教育をしようという動きになってるんでしょ?
で、あれば、是が非でも、ジェンダーの視点を導入してもらわなければ困るわけよ!!
だってそうだろ!
「男だから」「女だから」って意識を無自覚に内面化している子供の状態で、
その闇を照らし出す光も与えずに、「職業教育」だなんて、激しく間違ってるだろ!!
どうなってんだ!?
「よくわかんない」なら、勉強しろ! そして、周りに教えろ!!
それが、為政者の役目じゃないのか!? 「わかんな〜い」って、お前ら、乙女なのか!?


だいたい、「ジェンダーフリー」が、「完全に性差が地ならしされた状態」って受け取られてること自体が、おかしすぎませんか。だれか、間違いを是正してあげる人はいないんですか?
動かしがたく性差が存在してる状態で、でも、無益かつ有害な思い込みからは可能な限り自由になって、個々人の自由・幸福を追求していきましょうよという、そういう考え方じゃないんか、その「フリー」は!
男子だから、女子だから、そういう縛りで可能性を抑制されることのないように。また、そういう壁に当たってしまったときに、ちゃんと「壁」の正体を見て対処することが出来るように。そのための「ジェンダー・フリー」教育じゃないんですか。私は是非とも、子供のころに、この教育をしてほしかった。この学問を教えて頂きたかった。ギャオスのパワハラだってねえ、もとを正せば、この男性優位社会の犠牲だってことも言えるわけよ。あのひとの能力とパワーを生かせる場所が、○十年前にもっと開かれていたら、きっと、ギャオスはここで咆哮してなかったと思うんだよ。ギャオス、若い頃、ある会社の面接で、「女子は25歳になったら辞めてもらうことになっています。それでもいいですか?」って言われたらしいよ。信じられるか!? 彼女、最高学府卒ですよ!? T大文学部卒の学生に、25歳になったら、辞めろと!! 女子だってだけで!! 絶対にその面接官より、ギャオスのが勉強していたと思うよ。そして、あの性格ですから、きっと熱血にバリバリ頑張ったと思うよ。その有効な可能性を、その会社は、「女子は25歳で辞める」という規則のために、潰したわけですよ。そんな会社、ほんと「粉砕!」じゃヴォケ!!! 日頃酷い目にあっている私ですが、これに関しては、素直に義憤を感じますよ。許されないことじゃん?そういうのって。そんな時代が確実にあったわけよ。そして、それが今、この国をむしばんできちゃってるんじゃないんですか?


なんつうか、草案から「ジェンダー」の語を削って、じゃあ、どうするわけ。なんとするわけ。
だいたい、男女混合名簿問題も、笑止だよね。そんなもん、混合で当然だろ? 
分けて、男を先にする理由なんか、ないだろ?
うちの高校は男女混合名簿だったけど、ふつうに男のみ・女のみの名簿もあって、身体測定なんかはそっちを使っていたわけだし。混合で、不具合は、全くなかったわけだし。中学は「男女別・男子が先」の名簿だったけど、やっぱり、私は何か嫌でしたよ。そして、高校入って、格段に居心地が良くなったよ。「男女が別れてないと不便」って主張してる奴とか、本当に、アホかと思うよ。そんなもの、不便なときには、必要に応じて使い分ければいいじゃん。このコンピュータ化の時代に、非常に簡単なことじゃないの。「昔からそうだったから」とか言ってる奴、ほんとうに、正直に申し上げれば、一度儚くなって頂きたい。「混合にする」ことが、生徒の無意識に及ぼすものの大きさを、考えていただきたい。
それから、いまだに、「男は男らしく・女は女らしく」なんて言ってるやつ、本当に、いい加減にしていただきたい。「いわゆる『男』らしくしたい奴は、『男』らしく」で、いいじゃないの。女子の場合も、以下同文。それが好きなら、選んで、そうしたらいいんですよ。で、「あんまり、そうしたくもないんだけど?」って人に、押し付けたらいけないってことですよ。



なんかなあ。この、遅れに遅れちゃった日本て、一体、どうなるわけ。
これで、あと三十年くらいして、たとえば上野先生とかがお亡くなりになっちゃったら、一体、この国の意識は、どうなるんだろうね?
ちっとも、前進している感じがしないよ。それどころか後退しちゃってる。
ジェンダー」の語を削る、とか言ってる団体に、絶対に日本を良くできるわけないよ。
余人はどうあれ、私は本当にそう信じてるよ。絶対に投票しない。
ほんとう、税金払ってるのが嫌になってくるよ。払ってるけどね。年金も保険料も、納めてるけどね。なんかもう、ほんと、このままいくと暗黒じゃーん? と思ってしまう、今日この頃でした。