よしながふみ「大奥」


よ・ん・だ!
とうとう頭っから読みましたよ、よしながふみ「大奥」!


白泉社のサイトより
  http://www.hakusensha.co.jp/women/com.html )


やー、もー、第3話から読み始めたので、
なにがなんだか設定が分からなくって、ついていけなくってねえ、
このたびやっと胸のつかえが取れましたですよ。


そっかー!
こういう話だったのかーー!!


未読だった1、2話の水野がカッコよくてラブ。
そして、水野の着物を仕立てた呉服の間の、「垣添」!
お前さん、めちゃくちゃラブだー!!
かわいいのッ。電車で「キャー☆」ってなりました。
「何もいりませぬ、水野様。た、ただ…… 思い出を…



キタァァァーーーーーーーーーーーーー!!!!!



見た瞬間「ッシャ、オラーーーッ!!!」ってなりました。何の雄叫び。
当分、「思い出を…」は、私の中で流行語大賞です。
マジ泣かすー…
「思い出を」いいよねー。最高だよねー。
そのあとの垣添のうつむいた顔がまたグレイトだよねー。たまらんよねー。
垣添を婿にもらってはいけませんか。ああーんカワイイ〜☆
わたし的に、1巻のお代は、垣添で決済・ごっちゃんでした。



大奥、おもろいのかといわれると、
もう少し読んでみないと… というところです。でも2巻は欲しいです。
(雑誌も読んでるけど。)
えーと、「大奥」って、つまり、「時代劇SF」なんだね?
そうゆう理解でいいのでしょうか。
ジェンダー逆転パラレルなわけですが、
「逆転」の部分に言及していくのか、あくまで「パラレルSFとして」推し進めるのか、
その辺りが気になるところです。
パラレルの中の人が、
「この世界そのもの」に疑問を抱き、その欺瞞に言及するのか、
それとも、「そういう世界」としてガンガン進んでいくのか、どっちなんだろうかと。
主人公(だよね?)の吉宗(女)が、
「この国にはまるで女はいない如くだ(実際は女がすべてを担っているのに)」
と、そこに疑問を持ち始め、
「どうして家督を継ぐ女はみな男名を名乗るのか。でも女名のままでは、
 なにかしっくりこない気がする。
 しっくりこない、という、その感じ方が根本的な問題かもしれない」
と、四話にして思い始めるわけですが。
これはかなりフェミに言及しているし、ジェンダーの側面からのアプローチで、
ちょっと、まるごと出すぎてる気もしないでもなくって、
その按配が、今後、どうなるのかが気になります。
私は結構、「逆転してる」ということが既にひとつの実験であって、
「若い男ばかりがかかる謎の奇病(「赤面疱瘡」)」とか面白くって、
これが、「熊に噛まれて死んだ子供の傷から伝播した」とか「面白いなー!」と思ったし、
フェミ色があからさまにならないまでも、充分面白いと思いました。
ジェンダー逆転、という大目玉は分かったのですが、もっと仔細に「何を」求めてのこの設定なのか、がまだ充分に見えてこないので、それを楽しみに続きを読みたいです。



ところで、すっっっごい疑問に思ったんですけど、
ジェンダー役割が逆転してるのに、
どうして、男女の服装は、それぞれのままなんでしょう。
いや、別にこれはこれでいいのでしょうが、
わたしは、ここ、ものすっごい気になって…


なんつか、こう、本来男のものだった役割に女性が近づいていくと、
服装の方も、何らかの歩み寄りが行われると思わないか?
なんというか、「はかま」を穿いたりとか、こう、「オフィシャルさ」を示すような格好にシフトしたりしないものだろうか。
そして、その「オフィシャルさ」を男性が占めていたのなら、
何らかの形で、服装に「男ファッションへの接近」が見られたりしないんだろうか。
180度男女の性役割が逆転してる世界なのに、
服装はそのまんま持ち越し、というのは、何か、とても不思議だった。
お話としての「わかりやすさ」は、これでいいんだと思う。のですが。
なんちゅかこう、
「男が求める(求められる)美」と「女が求める(求められる)美」は違って、
それは大きく社会の構造に左右されるものだとすると、
社会的役割が完全に逆転したあの世界にあっても、
吉宗がそのまんま「打ち掛け」姿で「将軍」、ていうのが何かとても不思議で、
社会的役割が変っても「女性の美意識」「美への志向」は温存されるということか?
そういう世界観なのか? とか、いろいろ、考えてすぎてしまったのでした。
たぶん、急に男がバタバタ死に始めたから、
「火急的に」女子が男子の代わりを務めて、その内面を持ち越したまま、社会の状況が変り、そして八十年が過ぎて、性役割がスライドしてしまった、ということなんでしょうかね。男社会と闘う工程を経なかったので(「奇病」という危機ゆえ)、「過渡期」が存在せず、女子の文化は温存されてそのまま残ったということなんでしょうか。
ともかく「大奥」の続きが楽しみです。(でも、「赤面疱瘡」の描写はコワイです…!)