総一郎ラビリンス(第64話「直角」)

ああ、局長はどんな性的ファンタスム(幻想)がお好みか、気になっちゃってしょうがない。そんな、下世話の極地な今日この頃、どうもこんにちはモリイです。
何をいきなり痴女まるだしの冒頭か、という感じですけれども、
というのもねっ!
今週は、あまりにも、局長が「いいように扱われまくり」だったじゃないですかっ!!


あれよ、「よし、いい子だ」とか言われちゃってんのよ!
いや、ちょっと、時が止まったよね。そんで、じーっとそのページ見つめてるうちに、何かが、ふつふつとこみ上げてきて。もう、ジャンプ開いたまま、「フ、フ、フハハハハハ…!!」って、高笑いしてしまいました。
いやあ、さすが、悪の華に身を浸している奴らだけあって、物事の本質というものが、或る部分、よおく見えるんですねえ。ガスマスクの君、OK! よおく分ってらっしゃる、という感じですよね。だって、今さっき、会ったばかりなのよ。しかも、相手、日本警察の偉い人で人質の父親で、交渉相手。おまけに紳士なのよ。それなのに「いい子だ」なんて。普通は言わないジャン。それは、やっぱ、悪ならではの(?)嗅覚で、夜神さんの愛らしさを見抜いたということでは、ないんですかー!? 私は、もう、「あんた、OK!OK! よく分ってらっしゃる!!」と、国境を越えて手を握り合いたい気持ちでいっぱいです。ナイストゥーミーッチュー!!
そうだよ。総一郎は愛らしいんです。キュートガイなんです。もう、キ●ィとかマ××ロディとか、目じゃないんです。ディズニー・プリンセス?ハァ? って感じ。
やっぱり、分る人には分るんだァーー!!
私、先週の「俺の言う通りに動け(Byメロ)」で、その一点だけやたら濃く深くやられちゃってたんですけど。メロ一味、最高です。逸材ぞろいです。グッジョブ!!


そんな、「サディスティック祭り」で、最高だったわけなんですけれども、
だからって局長がすわMかというと、そうとも限らないと思ったりするのであります。相手に応じて、違う自分が出たりもするしさ。あの人には強気、かの人には、なぜか、絶対服従な気持ち、というの、あると思うしさ。ほんと、「教えて総様!!」という気持ちでいっぱいの一週間だったのでした。だいたい、総一郎は、女性に対しては結構な噛みごたえを見せる男ですから(52話「寸止」ウエディとのやりとり参照)、彼の真相は、ベールに包まれているわけであります。ウエディ嬢にはクールだったわりに、捜査本部では、ときに、えも言われぬ愛くるしさだったわけで(例「おでこ」「うちの子はおおきい」など多数)、本当に、アイバーとの個人的なやりとりを見られなかったのが、心残りなのであります。対アイバーでの態度が見られれば、重要なサンプルになったと思うのに…!!


しかしながら、こんなに延々と言っといてなんですけども、最近の局長は、可愛すぎて、ちょっと不満です。
とくに、先週、ライトに「馬鹿なことを言うな」とか言われて、ここはバシッと叩くところだと思うのですが、なんですか、「キュウゥ〜ン…」とでも言わんばかりの顔で、ライトを見つめたりしちゃってる、アレ! アイフルのチワワと、どっちが上かと。絶対にあのコマ、書き文字は「キュウゥ〜ン…」でした。
本当にもう。あれはやりすぎです。いけないと思います。ダメ・ゼッタイ、です。


どうしちゃったんでしょうか、2部の「夜神総一郎」は。
なにか、最近私は、局長と次長は別ものなんだと思うようになりました。
私が好きなのはやっぱり局長です。とくに、1巻、2巻と来て3巻でガッ!と急上昇、ピークに達して4巻で横ばい、ゆるやかに下降して5巻終わるあたりでやや下落、反比例でウザ味増しつつ、でも6巻がんばって横ばい、そんな感じの総一郎曲線を私は愛してました。愛してます。5巻6巻、「状況が読めてない系正義漢」役割になりつつも、Lと決裂しつつも、それでも「夜神さん」はグーだったです。大好きです。あなたとスキャンダルしたいです。
けどなんか。2部けなすの、新しいものに理解のない旧弊さかと、あんまり言いたくないのですが。でもなんか、「夜神総一郎」、変わった気がします。
それはなんでなのでしょうか。Lがいないからでしょうか。Lと「夜神さん」という、このバランスが気に入っていたからでしょうか。でも、なにか、私のラブを攫った「局長らしさ」っつうか、「『夜神さん』性」というか、それらが、今の次長からは感ぜられてこないのです。もっと言えば、次長のパーソナリティつうか、なにか、それが、断絶してる感じがするのです。あまりにもライトに従いすぎてるのも、そうだし。


もしかしたら、私の愛した「局長らしさ」とは、実は自明のものではなく、4巻までの奇跡だったのではないかと、思ったりもする。
それは、話の流れ上、作中の構造が
「L・局長(本部)」VS「ライト」から、
「L・ライト」VS「ヨツバ」に移った。
これにより、局長が話の中核から外にはずれたことが、すごく大きかったと思う。
Lの脇にいた局長は、白ライトの登場で、自然そこから弾かれてしまうわけです。

Lとの距離を同心円で表すとすると、
ライトの記憶喪失以前には、
Lを中心として、中心円・Lの、すぐ外側の円1が局長。その外側、円2に他の捜査員。
これは、局長が他の捜査員の長で、代表なので、Lに対して近いわけです。また、キラと目される夜神ライトの父親、という心理上の緊密さもありました。
(ちなみにワタリは、中心円・Lの内部に位置)
この図式が続くのが、4巻で、ライトの監禁の終了まで。
で、5巻以後、キラの記憶を喪失したライトがLと協力するようになると、
中心円・Lに対して、一番近い円1が、ライトになってしまうわけです。
しかも、ライトは主人公だしLと対等な存在という認知があるので、非常に有力な円1。ぶっちゃけ、もう、局長は要らないっていう感じです。
なので、本来局長にふられてもよさそうな良い役目が、全部ライトで賄われてしまうので、(また、そうしないと、ライトとLの共同捜査ぶりが演出できなかったのかも)
局長は、他の捜査員と同列、円2に後退せざるをえない。
Lと同世代ふうの協力者・ライトの登場で、物語中の通貨は、「警察」から「才能」にシフト。局長の「捜査員の長」というのも優位性を失い、円2の中で、ある程度横並びになってしまったと。しかも、警察を辞めてしまうので、さらに無化されます。
しかも、ここで、「すっごいお堅い人」という役割を、あまりにも着せられたふうに思うんですよ… 思うんですよね… なんか、すっごい、頭悪そうなことばっかりゆうの。悲しくなるよね。いまから、この中の七人に、誰でもいいから電話する、とか。テレビに出て全部話す、とかさ。「ちょっと待ってよ、ねえ!」って思うよね。歌うよ、工藤静香
何か、このあたりから、局長の歯車がどうもおかしくなってくる感じなんだ…
でも、白ライトがLの隣に座ってるから、役割的に「正義漢担当」は仕方ないのかなって思ってたけど。読み返すと、なんだか、結構悲しかったりする。
あの3巻のきらめき、ひらめきは、どこにいってしまったのかと。
白ライトが出てきてから、ガタッとかっこ悪くなった気がする。しかも、かっこ悪く、なりすぎた気がする。ちょっと切ない。
でも、いつかは戻るって信じてました。ライトはキラに戻るだろうし、きっと、世の中は良くなるわって信じてた。
それが、あなた。
「計算通り」以降、まるで、世も末じゃないですか。
Lは死んじゃうし。総一郎以下、捜査本部は骨抜きだしさ。
いやでも、L死んじゃった直後だし…って思ったけど、2部、四年経ったというのに、逞しくなるどころか、ますます、骨抜かれまくりじゃないですか!
そのへん納得できてないもんだから、次長のやることなすこと、まるで、ついていけないし。意味分らないし。そんなにライト本位制になるなんて、全然、思いもしなかったし。現実に目の当たりにしても、どうも、違和感が先にたつし。


なんというか、デスノート、怒涛の展開は大好きだしすごくいいと思うんですが、
あまりにも、過去に戻らなさすぎだと思うのよ。
やっぱり、今までの蓄積の元に、読んでるわけじゃないですか。このキャラはこうだとか。あのときこうだったとか。バックヤードを自分の中に作りつつ、話を読んでるわけだから、やっぱり、過去と、今との、連絡がほしいよね。なんというか、「あれよあれよという間の展開」もいいのですが、少しは、投げたボールが回収される感というのかしら、過去の地点で、自分が未来に向かって投げていた予測のボールを、今、未来で、やっぱり受け取れたという、その嬉しさ。その快感というのを、少しは、くれてもいいのになと思う。
(今週の「よし、いい子だ」なんかは、そのツボに入ったわけですか。考えてみたら。)
なんというか、お話の展開に、キャラの同一性が、引きずられている気がしますのよ。
キャラ立ちが激しいのに、そういうズレやブレがあって、時々辛くなったり。
友達が、「松田がコメディ・リリーフに固定…」と嘆いていたのですが、
私も、この何週間かの総一郎を見て、なにか、同種の悲しみを覚えましたです。
伊出たんなんか、「融通がきかないキャラ」決定という感じじゃないですか? 先週で。
違うんだ! 伊出は!伊出たんは!! 融通がきかないんじゃなくて、信念が強いの!!
融通がきかなかったら、相沢と「水面下の捜査活動」なんか、できないだろ!?
そのへんどうなのよ!
てなふうに思うことが、なんだか多いなと。
えー、伊出は、伊出だけは勘弁してやってほしいです。伊出は、デスノの、「横山秀夫色」担当なんだからさ!頼むよ!!私のために、頼むよ!!
ミサイルをどう回収するかも気になりますが、またカッコいい伊出に会えるのか、局長は目を覚ますのか(無理…かも…)、沈黙の模木はどうなのか、気がかりでならない今日この頃です。