「ハウルの動く城」感想 その1


(まだご覧になっていない方はご注意!!)





ハウルの動く城」感想です。
何から書いたらいいものか…
2回見たんですが、初回を見終えたときには、正直「難」という語がふーっと頭に浮かんできました。
「難しい」というのではないし「難解」というのも適当でない気がするが、何か、沢山の意味がひしめき合っていて、すぐには解釈しきれないというか。筋もそうだし、一方で映像の情報量が凄くて処理しきれず、観終えた後「面白かったけど、あれは、何だったんだろう」という思いがしばらく残りました。
2度目を観てその気持は大分解決がつきましたが、
観つつしみじみ思ったんですが、すごく、展開が速いですよね!
どんどん色んなことが起こっていって、次、次とストーリーが展開して、矢継早といってもいい速さと思います。
だから、ことに初見は、何もかもが唐突に感じられました。
ソフィーとハウルの気持の変化もそうだし、
要所要所の大事な展開が、ことごとく急な印象で。
ことに後半、「引越し」がうまく理解できず、
「あれ、ここソフィーの帽子屋? …従業員の人たちは?」とか思っている間にあれよあれよと話が進み、空襲は来るわ、ソフィーは自ら城を崩壊させるわ、今度は「崩壊させた城でハウルを探しに行く」わ、もう、すみません、状況の細部は何がなんだかわけわかりませんでした!


でも、2度目を観たとたんにその辺が氷解したので、また驚く。
わかんないわかんない、と思っていたのに、ちゃんと、描いてあった。
とくに、ソフィーとハウルの二人の心の動きはとても丁寧に描写してあって、「あ、こんなにちゃんとラブストーリーだったんだ!」と驚き、とても心打たれました。
しかし、その上で言うのですが、やっぱり、余韻とかタメとか無駄な間とか、もっとあっても良かったと思うのね…
たとえばソフィーとハウルの感情の変遷ですが、確かに、丁寧に、納得させられるように描かれていて、端折っているとか適当にしてる、とかじゃないんですよ。ああ、いいなあ…と思った。ただ、いくら素敵なものが描かれていても、それを見て、自分の中で解凍して、味わう時間が必要なんすよ! それが出来ないと、意味意味意味…ってなってしまって、自分の言葉にできなくなってしまう。精神の動体視力っていうのか、私だけかもしれないけど、私、それ、あんまり速くないんですよ。視覚で情報は捉えられるけれど、その意味を取ってさらに解釈、となると、やっぱりちょっと時間がかかる。筋を追う、という最優先事項もあるし。
それに、とても映像が素敵だし、キャラクターも、音楽も、セリフも素敵でしょう。もっと、味わいたいじゃん! 浸りたいじゃん!
そんで、「あー、今の言葉はこんな意味なのかなあ」とか、「この後、こうなるんじゃないか…?」とか、思いを差し挟む暇がほしいわけよ。
それは、ほんと、ほんのちょこっとずつの間隙をプラスするだけでよかったと思うんですが。どうでしょうか。
私が、あまりにも絵に見入りすぎ、さらに色々と思い巡らしすぎちゃったせいで、ついてけなくなっちゃったんでしょうか。…うん、きっと、それもある!(笑) ありますけども。


絵ですけど、今更私などが言う事でもないですが、すっごく作りこんでましたよね!
今までに輪をかけて凄かった気がするんですが。
も、見るとこいっぱいありすぎて! 冒頭の、お祭りで軍隊が行進するカットなんか、色もいっぱい、人もいっぱいで一瞬ビビりましたですよ。「あっ、すげえピンク…!」みたいな。お祭りのシーン、そこらじゅうで「ウォーリーを探せ」みたいになってたし。そういうの、ちくちく見るのも、楽しいんですよネ。だからも少し話のスピードを…緩めてくれたら、嬉しかったなと…  でもあの筋だしあの密度だし、あのスピードが逆に必要だったのかもしれませんが。


やーでもさー、あっというまに過ぎすぎだ! て感じはするよね。もっと見てたかったよ。続編みたいよ続編。もっと、ハウルとかソフィーとかマルクルとかの普通の姿が見たいよ。
宮崎監督、原作2映画化してくれないかなあ…
めっちゃ好きそうな話じゃないですか!
原題『Castle in the Air』
・・・ど真ん中じゃないですか!(笑)

ありえないからこそ華、かなわないからこそ、描いて楽しい夢ですわ。

(それに原作2と、宮崎監督の求める世界って、何か根本的に違う気するしね。)