かわいいってなんですか


さて、私の会社はほとんどが男性でありまして、平均年齢がぐっと高く、しかも、9割以上が転職歴ゼロという・・・ つまるところ、典型的・日本の企業でございます。
女子総合職もいるにはいるけど、圧倒的に、女子は一般職。
私の部署はまだ女子率が高いけど、他部署の会議に出席したりすると、気がつくと女子は私ひとりだなんてこともしばしば。ていうか、いつも? 多い時で、二人、下手すりゃひとりですよ、オールウェイズ。


そして、「若手」といったら三十代半ば・・・というそんな社の中じゃポイズン、「二十歳代で女子」な存在は希少種。
そんで、なにが出来するかといいますと、おじさん・おにいさんたちに「かわいい」「かわいいね〜」とか、言われたりするわけですよ。
自慢だと思ってもらうと非常に困るが、この「かわいい」て、言われる方はとても、ふくざつ。
かわいいって、かわいいって・・・なんですか???


まずその1、「かわいい」ゆう言葉を、不当に浴びているような気がする! それ、あくまで、相対性「かわいい」であって・・ この状況下だからであって、あの、ホント、かわいいとかいうアレじゃないですからっ・・・ という、忸怩たる思いがするわけよね。
そんでその2、「かわいい」って言われたり、あきらかに特別扱いされてたりするのが、なんつうか、居心地が悪いんだわよ。なんつか、身の置き所がない感じがする。
女の子ですみません的な、そんな気持になっちゃうのは、どうして?


「かわいい」って言われるたびに複雑ながら、でもなー、誰にもそう言われないよりはありがたいのかなー、とか、向こうに悪気はないのかしらん、とか。そんなことを考えて、困ったように笑ってみたり・・・
「女性にはサービス」って余分にお菓子をもらったり、ありがたいけど、どこかで、複雑。


本当は、余分にお菓子をくれるとか、それって厳密には性差別。
大学でも卒業してからも、フェミを学んできた私にしてみたら、フェミ・コード(FC)がチカッと点滅する。
でも、向こうにしてみたら、まったく悪気はないわけで。それどころか、ありがたい心づかいなわけで。
フェミニズムは「イズム」であって、それはあくまでも「思想」。
だけど私が生きているのは、「現実」で、
確かに救済であるはずのフェミニズムを抱いて、だけど苦しむのは、
思想と現実との間に、つねに、乖離が存在することの苦しみだ。


「女性にはサービス」と言って向こうが出してきたお菓子を、「性差別だからいりません」って、はねつけることなんかできない。できないし、まったく、したくない。
それは、コミュニケーションを拒絶することになるから。
「かわいい」といわれて「うっ」と思う、自分のフェミよりも、
その「本意」みたいなものを、くみ取って大事にして(せざるをえなくて?)、
私は、「困ったように笑って」いる。


どんなつもりで、向こうは、「かわいい」ていうんだろう。
きっと、深い意味はないんだし、リップサービスなんだろう。
だけど、「かわいい」て言っても言わなくても、少なくても私は、なんにも変わりませんけど。
こういうときいっつも思うのは、『働きマン』におけるユミちゃんの、
「かわいがってもらっとけばいいんです」という、金言。
働きマン』はいまいちシンパシーをもちきれないけど、この言葉は、しみる。
かわいがってもらっておく、という言葉には、真実とフェミとニヒリズムがあるように思う。
ありがたく、かわいがってもらっておく。
かわいがってもらえるということは、本当はとても、私が思っている以上にとても、
ありがたいことだよね。
この落ち込みはもしかしたら、
その好意を過分に感じて、とても、申し訳なくなっているのかもしれない。