「銀しげ」を語る〜第2夜・若「銀しげ」を語るつもりが「銀森」を語っていた話。


中年銀しげの前にもそっと若バージョンを!
「銀しげ」の若銀二のイメージを肉づけ中なのですが、
ビジュアル的に、どうしても、凡夫・平山ゆきおの影がっ…!(笑)
いや、平山、むちゃ大好きなんですけど。かわいそうだよね! マネージャーの安岡にまで、「あいつ(※アカギ)は別格なんだ」とか言われて… あのニセアカギ劇でしくじったせいで、鷲巣邸に行かざるをえなくなったんじゃないの? もうちょっと、凡夫にやさしくさあ…! とか、思うわけですよ。ほんと。 


いやいや、話は銀二です。
銀さんは今は「銀髪」(作中より)だけど、
若い頃の銀二の髪色は…やはり「黒」ですよね。
しげると銀二は限りなく双生児っぽいキャラだけど(ポジションというか、その絶対性が)、いくらなんでも、銀二まで「若い頃から銀髪」ってことはないだろう。
てなわけで、「髪の黒い銀さん」を懸命に思い描いているわけですが、
これ、なかなかむずかしい…!
しかも、若き日のしげるに「アカギ」という現物映像がある分、若い「銀さん」のイメージがしげるに食われていくわけですよ。そんで、気づいたら、限りなく平山に漸近線とか(笑)
しかも、そのせいか、やたらしげるに翻弄される光景ばかり浮かんできたり(笑)
ちがうっ、ゆきおじゃないんだっ! 
銀さん(若)はまるで抜き身の刃のようなんだっ! と唱えて、イメージ補正。
母体がアホだと、夢想もまたアホになるんですね。銀さんゴメン!


ところで、若き日の銀さん、髪色はつややかな漆黒ですが、
しかし、頭を使いすぎるせいで、26歳くらいで早や、若白髪が出始めてるといいよね。鬢の辺りにたくさん!
そんで、しげるは、それについて、「悪巧みばっかりしてやがるからだ」って、思ったり、言ったりすればいいと思う。
ああ、若白髪の目立つ銀さん… すてきだ…
メガネとか(かけなそうだけど)かけてくれてたらたまらない…


若銀さんは、若き日は勉強に次ぐ勉強で、日に二冊の本を必ず読み、家にいても何かと、小難しい本を開いており。しげるはそのかたわらで(っていうか狭いからいる場所がない)、ごろごろしたり、ときには自分も何か読んだりしていると。でも、銀二の読んでる本は、よくわかんない、みたいな。銀さんが読むのは政治経済(やっぱそうでしょう)が中心だけど、しげるは、読むなら、哲学とか心理学とか人文系を読んでいそう。けっこう、何気に、本は読んでいそうな印象です。雑多に。古本屋でニーチェとかハイデッガーとか買ってきて、「よくわかんねー」って思いつつ、とりあえずめくっているしげる萌え。岩波文庫 yeah! そんな、銀二としげるの、午後なんかどうだろうか。


あと、『天』でしげるが言ってた、「後塵を拝する」なんて言い回しは、銀二経由だと…!
あれはむしろ銀さんの語彙と思うわけで、
銀二がそんな言い回しをしたのを聞いて、「へえー」とか思い、以後、取り入れてみました―― なんていうのが、ものっそいトキメキなんですが。
ああ、ラブい。ラブいなあ、銀しげ。


さて、銀さんは、自分が「そこそこ天(貴史でなく、ほんとの意味での「天」)に愛されてる」ことは自覚しているが、「決定的に愛されている」とは思っていない。全然思っていなくて、そこを自惚れることを自分に許さない。頭が良すぎるがゆえに、自分のことまでよく見えすぎる。その厳しい把握は、徹底した現実認識であると同時に、ある意味で、頭が良すぎるがゆえの枷、限界でもあり。
銀さんには、「決定的に、天に愛されていること」への希求がある。「幸運」「偶然」を渇望し、憧れてやまない心。
それがまさに、銀さんをして森田の「幸運」「器」を追い求めさせ、「その偶然がほしい…!」と言わせた源だと思う。


銀さんは、限りなく優れた頭脳を持ち、論理や策謀を緻密に組み上げる理性派ながら、それとはやや不似合いなほど、「運」とか、「偶然」を重んじているように見える。それは、自分では得られないもの、求めようとしても、「それなり」にしか得られないものだと、自分で、そう認識してるからだと思う。
きっと、かなり早いうちから、「いつか、自分は、『運』の要素で遅れをとるだろう」という予感、恐れが、銀さんのなかに根ざしていたんじゃないかと思う。そればっかりは、努力では、どうにもならないもの。そして、自分に「それ」があるとは、どうにも思われないもの。
「いつか『運』で負ける」この思いは、銀さんにとって、ずっとずっとついてくるものだっただろう。中年も後期に入り(『銀と金』時点では50歳すぎくらい?)、天運に愛されている森田をあれほど必要としたのは、いよいよ「その日」が迫っていることを、切々と感じていたからかもしれない。自分には「それ」がない、にもかかわらず、これまで、勝ち続けてきた。だからこそ、自分の残り時間をかんがみ、今、いる地点をかんがみ、「その日」も、そう遠くないのかもしれないと。
その恐れにひたひたと突き動かされていたのだ、と考えれば、森田への愛情と信奉、そして、失ってしまった時の衝撃と、「これを機に引退しようと思った」その気持ちは、深く理解できて、とてもとても悲しい。そして、なお、「勝負」の世界に生きようと決意した時の、その背中の寒さ。断崖を吹き上げる風を背に立つような、砕けると知ってなお踏み出すような、決意は、凄絶そのものである。 (いとしすぎるよ、銀さん…!)
その心を思うとき、限りなく、胸が痛くなるわけだが、銀二は「勝負」に生き続けることを選び、その先の(そして、おそらく死の時までの)「平井銀二」を選びとることとなる。
あるいは、「勝負」の世界を生き続ける事で、森田とまた、いつか、どこかで、出会えると思ったのかもしれない。





(銀森が長くなってしまいましたがっ…!)
そのように、「天運」を希求する銀さんにとって、
若き日にまみえた(と勝手に仮定する・笑)「赤木しげる」もまた、素通りにできない、
驚愕の存在だったはず。
限りなく神に愛されているくせに、いたずらに無為に、その運を遣っていく男。
にもかかわらず、汲めど尽きないが如くに、恩寵は枯れはしない。
銀二にしてみたら、ほとんど、奇跡のような存在。
強く魅せられると同時に、どこかで、激しく許せない。
「アカギ」という謎が気になり、その存在にとらわれたようになって、
銀二は、傷つき、傷つけあいながらも、一緒にいてしまう。
いまいましいことに、なんとなく人間は合って、一緒にいて結構楽しく。
でも、銀二の胸の奥底には、いかんともしがたい、凶暴などろどろした気持ちがあるという。
そしてしげるは、そんな銀二を見ていて、非常に楽しいという。


そんな、若「銀しげ」。
どうなるやら。どうなっていくことやら…!
想像は尽きません。


次は、今度こそ、いよいよ中年「銀しげ」。
こちらもワンダーランド! むしろ、ディ○ニーに匹敵する夢の国、花の世界…!
何言ってんだ(笑) また、「銀しげ」でお会いしましょう(笑)