そこに「掛けろ」とは言ってない。

チス!

やー、ゆうべは「白い巨塔」アンコールスペシャル見まして、
久々にゼエゼエしましたね!!
「財前がおもしろすぎる」というメールを友人と飛び交わしつつ、二時間楽しみました。
や、もう、冒頭の「無念だ…!」でドーンと盛り上がってしまい、以下「キター!」の連続で。ほんと、このドラマ、可笑しいっていうか濃いっていうか、オモロイ。
だいたい主役の財前が他の追随を許さないオモロぶり。脇のオヤジどもや「くれない会」も相当濃いんですけど、やっぱり、財前の一人勝ちということで、全部持ってかれた感じです。
里見もさー! あんた、なんで、そんな頑固なんだよと!!
私、本放送時、財前が土下座までして「頼む!」って言ってんのに、断固「断る」って言った里見には憎しみを抱いたよ。財前が、アンタ、財前が土下座までしてるんですよ!友達が手をついて頼んでるのに「断る」ってか!
そんでこのセリフ。「戦ってるのはお前だけじゃない」
・・・なんてかー!? 憎! 憎いよサトミ!!  …と、当時の私はテーブルをバンバン叩いて憤ったものでした。
かつては、サトミの愛らしさに動揺しながらも、第一部(昨日総集編やった分)は財前のなり上がりを応援していたので、サトミの頑迷な信条貫徹ぶりが憎くて、あんまりサトミ好きじゃありませんでした。
ところがよー。(以下、昨日以降の分のネタバレありなので嫌な方はご注意)
二部になると、今度は、
財前が教授になっちゃって、もうほんと憎ったらしくなるじゃない。
ヤナ(柳沢/伊藤英明)を怒鳴りつけてみたりさー。わたし、自分とこのヒステリック・ボスの恫喝と重なっちゃって、ほんとヤでしたね… 
そうなると、今度は、サトミの良心ぶりがオアシスに見えてくるわけなんですよ。極めつけは、あれですか、大学を辞めさせられて私立の病院の先生になるとこね! あの、大学去るあたりの、蔵之介とのやり取りなんか最高でしたね。蔵之介はめっちゃサトミ先生を心配してて、部下だから控えめになんだけど、いろいろ忠告するわけよ。でも、それを己が信条で一顧だにしないサトミ。 …お前、成長しろよと今ちょっと突っ込みたくなってしまいましたね。財前の教授選のときと変わってないじゃん。サトミさ、もっと、人の話をよく聞いたほうがいいと思うよ。この人、やさしくていい人なんだけど、医療がらみの話はきちんと耳を傾けるくせに、自分の行動について言われると、日頃の「いい人」ぶりの割には、結構、話聞いてないんだよね。意外と。私も、サトミ先生「いい人」なんでその辺気がつかなかったんだけど、今、彼への違和感の正体が少し分かったよ。こういうとこだったんだよ。いつものサトミ先生の「いい人ゲージ」であれば、もっと、相手の言うことを聞き入れられないながらも、心を動かしたり表情に痛みを出したりしてもいいと思うわけ。せめて、相手の気持ちへの反応くらいあってよし。ありがとう、とか。そんなあ、とか。でも、サトミ、全っ然その辺無反応なのね! 顔を崩さないで決然と「財前、俺はできないよ」みたいな。「ありがとう」言いながらも全然ありがたいと思ってないのが丸わかりなのね。(あ、ほんとは思ってるのかな。狭量な目でごめんなさい)
財前はしょうがないながらも、蔵之介には、もっとやさしくしろよと!! あいつ一所懸命じゃん、あんたのために! とうとう蔵之介がサトミを批判するシーンでは「おお!もっと言ったれ!」と思いましたが、サトミの反応はまたも食い足りなく… そうじゃねえだろ!オロローン! と、テレビの前で吼えた次第です。妻に、裏心ありげなことを言われても、この人はそうですね。しかしながら、昨日の、「家帰ってきて風呂上がってきて灰色のスウェットで夕飯を食べる里見」には、どうしていいか分からないくらい胸騒ぎでした!エヘ! 「…俺は、間違ってるのかな」なんて、戸惑う里見そのものがすでにコンテンツとして有効。なので、あなたはそのままでいいです。まちがってない。まちがってないよー。そして、明日の夜には、その戸惑いもきっと忘れてしまうんだ。

里見がらみで言いますと、二部の柳沢(柳原だったらすみません)の、里見−財前間の精神的板ばさみなども切なくていいですね。ヤナは、財前を尊敬してるし恐ろしいから、財前の精神的呪縛下(社会的にも)にあって、財前先生何かおかしいと思いながらも逆らえないと。で、同僚がみんな財前に阿ってヤナの疑念や不安を分かってくれない中で、里見先生だけが、部署も違うのにヤナが困ってることに気づいてくれる。だけど、ヤナは、財前への義理立てと恐怖心その他諸々から、里見が差し伸べる手をはねつけ続けるわけよ! ああー、何でー!! 私は、「里見にすべてを打ち明けるヤナ」をものすごい期待して待ち望んでたんですが、(そうしないと患者さん手遅れになるし)、とうとうそうはならなかったよ… ああ…  ただならぬ雰囲気に、ついに「どうしたんだ」と追及する里見を振り払う柳沢の図、は、もう、本当に見ていて辛かったですね。ヤナ… ほんと、これ、一生の心の傷になっちゃうよね… 財前悪いよ… あと、ヤナの先輩たちも、やっぱだめだよ… だめなことはだめ、おかしいことはおかしいって、ちゃんと言えなきゃいけないんだと強く思いました。(その流れで相沢にガッと傾倒したのかしらん。)

ヤナは精神的には、すごく里見に惹かれているわけなんですよね。医師としてのあり方とかも。もうほんと、ヤナが里見先生についてたらどんなによかったことか。お互い良心的なところとか似ていて、その「似てる」ってことは、ヤナだってよく分かってると思うのね。だから、ヤナには、ことに財前のゴリゴリなやり方に迷いが募っているヤナには、里見という先生がどうしても必要だったんだよね。指導を乞いたいわけよ。でも、それを、無節操に頼っていけないところがヤナの人間性で、切ないところですよね。…「里見に言うと大事になっちゃいそうだ」という危惧もちょっとはあったのでしょうか。微妙な相談事を打ち明けてもらえるパーソナリティを身につけることの大切さ、をモリイは今感じました。精進…
ヤナはきっと、学生の時分から里見先生にあこがれていたんでしょう。いや、きっとそうだ。でも、自分の苦学生という立場から、同じく苦学してゼロから成り上がった財前という存在は、強烈に憧れてやまない、巨大な伝説だったと思うわけ。まさしく、ヤナの「白い巨塔」。ヤナは社会的自己実現や栄達の面では財前に道標を求め、そして医師としての精神や倫理のあり方の面では里見に惹かれて手本にしたいと思い、その二つの間で揺れていた。
それは本当は共存できるのかもしれないし、ヤナの中では曖昧模糊として共棲していたんだろうけど、それが医療ミス事件の流れの中で強烈に顕在化してきてしまい、相克し、引き裂き合ってしまったと。それが柳沢の不幸であったと思うわけなんです。
や、今思ったけど、巨塔最大の両極端の間に立てば、そりゃ、引き裂かれもするわ… そりゃ無理だよ。かなわないよ。 とにかく、ヤナは、ほんと辛いことだったなとおもう次第です。でも亀山さんが応援してくれたから! がんばって! 亀山さんイイ。再就職した先が東教授の病院っていうところもいいね。


あーー、あずまきょうじゅのこと、まだ何にも書いてないー。
でも、今朝はこれまでにいたしというございます。今朝かよ。